科学論文紹介

腸内細菌が腸管上皮細胞のDNAメチル化に影響を及ぼす

toraemonさんによる写真ACからの写真

論文名: The microbiota programs DNA methylation to control intestinal homeostasis and inflammation (Nature Microbiology)

腸内細菌が腸管上皮細胞のDNAメチル化に影響しているという報告(pubmed)。

生後無菌環境化で育った(GF)マウスと細菌が存在する通常の環境で育った(CNV)マウスの腸管上皮細胞の転写産物をRNA-seqにより比較したところ、CNVにおいて824の遺伝子で有意な発現上昇が、358の遺伝子で有意な発現低下が見られた。
さらに、全ゲノムバイサルファイトシーケンシングでDNAメチル化レベルを評価したところ、CNVにおいて全体的なメチル化レベルの低下が見られた(低メチル化領域[LMRs];  CNV: 93,000 LMRs; GF: 57,000 LMRs)。

ここで、CNVにおいて、LMRを有し、有意な発現上昇が見られる300の遺伝子に着目しGO解析を行ったところ、マウス大腸炎やヒトIBDもしくはヒト老化が多く検出され、腸内細菌が初期の炎症状態を惹起していることが示唆された。 さて、腸内細菌依存のDNAメチル化を担う酵素を特定するために、Tet2/3の腸管上皮細胞特異的KO(Tet2/3-cKO)マウスを作製したところ、CNV-野生型マウスに比べCNV-Tet2/3-cKOマウスにおいて全体的なメチル化レベルの低下が見られた(なぜか、GF-野生型との比較データはない)。

ここで、GF-野生型マウスは、CNV-野生型マウスよりもDSSに対して過敏に反応することが知れれているが、CNV-Tet2/3-cKOマウスも同様にDSSに対し過敏に反応するデータが得られた。
これらの結果から、Tet2/3が腸内細菌依存のDNAメチル化を担っており、このメチル化が腸管の恒常性維持に機能していると考察される(ややごまかしてる感あり)。