科学論文紹介

Eomes and Brachyury control pluripotency exit and germ-layer segregation by changing the chromatin state. ~ 胎児形成の最初期における系列決定~

acworksさんによるイラストACからのイラスト

Eomes and Brachyury control pluripotency exit and germ-layer segregation by changing the chromatin state. ~ 胎児形成の最初期における系列決定~
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31792383

T-box factorのEomesとBrachyuryがpluripotency exitとgerm-later segregation (neuroectoderm [NE]とmesoderm & definitive endoderm [ME])に機能するメカニズムが報告されていたのでメモ。そんなに新規性がない気はしますが、この辺り、自分の中でやや曖昧になっているので勉強にはなりました。

まず、自身の復習の意味も兼ねて基礎知識から。マウス胎生6.5日において、posteriorにおけるTGF-β/NodalまたはWntシグナルがONになります。これにより、EomesとBrachyuryの発現が誘導され、ME lineageが誘導されます。一方、anteriorにおいては、WNT3AとNODAL signalがAVEから分泌される因子(LEFTY1・CER1・DKK1)により拮抗されています。その結果、内在性の転写因子ネットワークに従い、NE geneが活性化。pluripotency/ME geneが抑制されます。

さて、この論文で示されたことですが、EomesとBrachyuryはpluripotent geneとNE geneのenhancerをcloseにし、その一方で、ME enhancersをopenにするというものです。

まず、EomesとBrachyuryをdKOすると、ES細胞、胚ともにME lineageに分化できないことが示されます(Fig.1 & 3)。ちなみにFig.2では、dKO ES細胞がpluripotencyを維持していること、ME誘導条件下でもNEに分化してしまうことが示されていました。

次に、Chip-seqを行ったところ、Eomes/BrachyuryはdKOにおいて発現が低下する遺伝子、上昇する遺伝子のエンハンサー両方に結合していることが分かります(Fig. 4A & B)。続いて、ATAC-seqとH3K27acのChip-seqを行ったところ、発現が低下する遺伝子のchromatinのaccessibilityとH3K27acレベルが低いことが示されます(Fig. 4C)。一方で、dKOで発現が高まる遺伝子については、chromatinのaccessibility に変化はないようです(Fig. 4E)。なお、Eomes/BrachyuryによるNE geneの抑制は、directな経路とindirectな経路の両方によるみたいです(Fig. 5 & 6)。

胎児が厳密に制御されながら形作られていく様子は、非常に興奮するものではあるのですが、複雑で理解が難しいのが困りものですね。